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  <title>マクロスアーカイブ</title>
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  <description>マクロスＦログ</description>
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    <item>
    <title>レジェンド・オブ・フロンティア　第２０章</title>
    <description>
    <![CDATA[<div id="wrapper">
	　永遠の愛を誓う相手は神様でも国王でも国民でもなく。<br />
	　ただ、互いにのみ誓いなさいとトクガワ王は微笑んだ。　<br />
	　心の中で驚愕しながら、表には出さずそっと神父の方を見る。<br />
	　老齢ではあるがきちんと背の伸びた白髪の神父は、苦笑しながらうなずいた。<br />
	　ああ、それでは彼が仕事をできないではないか。<br />
	　ちらりととなりを見ると、細やかな刺繍のされた白いヴェールの向こうでアルト姫がにこりと笑った。<br />
	　唇を小さく動かして、何かを伝えてくる。<br />
	<br />
	「仕方ないのないお父様ですこと」<br />
	<br />
	　シェリル王子は、耐え切れずにしのび笑いを漏らした。<br />
	<br />
	「それでは誓いましょう。アルト姫。私の愛は永遠にあなたに捧ぐと」<br />
	「私のすべてを、新しきフロンティアの王に」<br />
	<br />
	　トクガワ王以下王家とそれに連なる貴族らの暖かい拍手に包まれながら、ふたりは唇を重ね合わせた。<br />
	<br />
	<br />
	<br />
	<br />
	<br />
	<br />
	　眼下でしきりに手を振る大勢の民衆たちに手を振り返しながら、アルト姫はとある一角を目にしたところで息を呑んだ。<br />
	　全身黒の皮服を見につけ、長いマントも黒で、風に揺らぐとたまに濃紺にも見えた。<br />
	　羽飾りのついた鍔の広い帽子で顔は見えないが、一瞬きらりと光ったのは眼鏡だろう。<br />
	<br />
	（ミシェル）<br />
	<br />
	　彼は、こちらの視線に気づいたのか、一瞬顔を上げ、軽く手を振って、背を向けた。<br />
	<br />
	（あ）<br />
	<br />
	　何故だか、きっともう二度と会えないのだろう、と姫は思った。<br />
	<br />
	「アルト姫？どうしたのですか」<br />
	<br />
	　ふと、笑みの消えた姫の表情をみとめてシェリルがそっと肩を抱く手にわずかに力をこめた。<br />
	<br />
	「いえ、みなが祝福してくれるものですから」<br />
	<br />
	　答えにならない応答をして微笑んだ。<br />
	<br />
	「これから忙しくなりますね。戴冠式も控えておりますし、諸外国の大使から謁見の申し出もすでにきております」<br />
	「はい」<br />
	<br />
	　すでに一年先まで公務の予定がびっしりだった。<br />
	　婚儀の日、母であるギャラクシー女王は何も言わず、ただそっと息子の頬をひと撫ですると改まって祝福を述べた。<br />
	　それは、他国の王となるシェリルへの決別だったのだろう。<br />
	　そんなギャラクシーから、すでに駐在大使を派遣したいとの要請があった。<br />
	　決断するのもシェリルである。<br />
	<br />
	「戴冠式を終えれば、陛下とお呼びしなければなりませんね」<br />
	「あなたはもう姫ではなく、王妃ですね」<br />
	<br />
	　呼ばれ慣れない単語に思わず立ち止まるのを忘れることがあるかもしれない。<br />
	<br />
	「ですがふたりだけのときは名前を呼んでください。アルト、と」<br />
	「では私のことも」<br />
	「おふたりとも」<br />
	<br />
	　背後から遠慮がちに声をかけられ同時に振り向くと、やや困惑したような顔でルカが立っていた。<br />
	　今後も引き続きシェリルの側近として、今度はフロンティア国王に仕える身となる。<br />
	<br />
	「そんなにお互いの顔ばかりご覧になってないで、民衆の方々にちゃんとご挨拶してくださらなくては」<br />
	<br />
	　人前で公然といちゃつかないでくださいね、とからかうようにたしなめると。<br />
	　若き時期フロンティア国王とその妃は、慌てて眼下に手を振り返す任務に戻った。<br />
	　不自然にならないようにアルトはもう一度、青の騎士を探したが、彼の姿はもうどこにもなかった。<br />
	<br />
	<br />
	<br />
	＋＋＋＋＋＋＋＋＋＋＋＋＋＋＋＋＋＋＋＋＋＋＋＋＋＋＋＋＋＋＋＋＋<br />
	<br />
	<br />
	<br />
	「なんか、アルトがミシェルに未練あるみたいじゃないこれ」<br />
	<br />
	　ああ疲れた、と衣装のベルトをはずしながら、シェリルは唇を尖らせた。<br />
	<br />
	「さすがキャシー、いえグラス中尉。なにげにこれから始まる不倫ドラマへの布石というわけですね」<br />
	「んなわけあるか！」<br />
	<br />
	　へらへら笑いながら帽子を脱ぐミシェルに、アルトはかっと顔を赤くして怒鳴った。<br />
	<br />
	「どこの世界におとぎ話の続編が不倫物語になる芝居があるんだよ！どこの昼メロだ」<br />
	<br />
	　なんだか、自分が（いやアルト姫が、だが）ミシェルに未練があるようなシーンは確かにおかしいだろう、とアルトも思った。<br />
	　これではまるでヒロインがハッピーエンドに不満を持っているみたいではないか。<br />
	<br />
	「でもでも、すごく良かったよ！エキストラのみんなもたくさんいてすごかったね！」<br />
	<br />
	　そのエキストラにまぎれてさかんに拍手を送っていたランカが、可愛らしい町娘のドレスを着たまま頬を紅潮させて言った。<br />
	　ナナセが、＜彼女のためだけに＞デザインしたらしい。なんだその贔屓は、とは誰も突っ込まなかった。<br />
	　事実、可愛かったからである。<br />
	<br />
	（私だってドレス着たかったわ）<br />
	<br />
	　まあ仕方ないけど、とこっそり胸中で呟いて、にこやかにランカの手を握る。<br />
	<br />
	「ありがとうランカちゃん。一緒に歌った主題歌、最後のエンディングでぼろ泣きした観客も多かったみたいよ」<br />
	「はい！シェリルさんと一緒に歌えてすごく嬉しかったです！」<br />
	<br />
	　なんだか歌姫ふたりで盛り上がってしまった。<br />
	<br />
	「はい、みんなお疲れ様。打ち上げやるから、着替えて片付けたらエキストラ用控え室に集合ね」<br />
	<br />
	　キャシーが両手のひらをぱんぱん叩きながら告げる。<br />
	　彼女のとなりで酒だ酒だ、ああランカ似合うなそのドレスまるでおまえがヒロインみたいだと、ぶつぶつ言っているオズマが肩をすくめる。<br />
	<br />
	「なあキャシー、軍人やめて小説家やろうなんて本気で思ってるんじゃないだろうな」<br />
	「あら、二足のわらじっていうのもいいかと思うのよ」<br />
	「いいわけあるか」<br />
	<br />
	<br />
	<br />
	「俺はさ、今回はシェリルに譲ったけど、あれは芝居だからだよ」<br />
	<br />
	　ウーロン茶を飲みながらミシェルがふと言った。<br />
	　周囲のテーブルはさながら宴会のようで、誰もまともに人の話を聞いていない。<br />
	　ちゃんと与えられたテーブルについて飲み食いしているのはふたりだけだった。<br />
	　さきほどまで一緒におとなしく食事をしていたルカもいない。<br />
	<br />
	「どういう意味だよ」<br />
	<br />
	　ああこの北京ダックうまいな、と手づかみで口の中に放り込みながらアルトが隣りを見る。<br />
	<br />
	「いや、別に。ああそれより確かにおまえのウェディングドレス似合ってたなあ」<br />
	「うっせぇなあ」<br />
	<br />
	　もう忘れろ、と頬を赤らめて北京ダックを飲み下す。<br />
	　おまえの騎士の姿も、それなりにいけてたぜ、と言おうとして、結局何も言えずに悪態をついた。<br />
	<br />
	<br />
	<br />
	<br />
	＋＋＋＋＋＋＋＋＋＋＋＋＋＋＋＋＋＋＋＋＋＋＋＋＋＋＋＋＋＋＋＋＋<br />
	<br />
	<br />
	<br />
	<br />
	　青の騎士は、カナリアやクランたちと一緒に移動しながら、夕日に照らされオレンジ色に染まる王宮を仰ぎ見た。<br />
	　浮かれた城下町を出るとあとは延々馬を走らせ、やがて隣国へ向かうのみだ。<br />
	<br />
	「いいのか、ミシェル」<br />
	<br />
	　頭上からクランの声が降り注ぐ。<br />
	　おの声音にわずかに案じるような色が混じっていて、ミシェルは苦笑した。<br />
	<br />
	「彼女に冒険は似合わない。愛され、守られて誰よりも幸せに生きるべきだ。俺はそう思うよ」<br />
	<br />
	　ただ純粋で綺麗なままでいてほしい。<br />
	　生まれや身分は関係ないとは言っても、やはり自分のような戦いに身を置く人間とははじめから違うのだと彼は思った。<br />
	<br />
	「さようならアルト姫。けれどいつか、この国が戦火に巻き込まれるようなことがあれば、俺はいつでもあなたを攫いに行きますよ」<br />
	<br />
	　どさくさにまぎれて、どこまでも遠くへふたりで逃げよう。<br />
	　それまでは、どうか平和に。<br />
	<br />
	「さて、ではギャラクシーの動向を伺いに国境を越えますか」<br />
	　<br />
	&nbsp;</div>
<p>
	END</p>
<p>
	&nbsp;</p>
]]>
    </description>
    <category>レジェンド・オブ・フロンティア</category>
    <link>http://mfxxxx.blog.shinobi.jp/%E3%83%AC%E3%82%B8%E3%82%A7%E3%83%B3%E3%83%89%E3%83%BB%E3%82%AA%E3%83%96%E3%83%BB%E3%83%95%E3%83%AD%E3%83%B3%E3%83%86%E3%82%A3%E3%82%A2/%E3%83%AC%E3%82%B8%E3%82%A7%E3%83%B3%E3%83%89%E3%83%BB%E3%82%AA%E3%83%96%E3%83%BB%E3%83%95%E3%83%AD%E3%83%B3%E3%83%86%E3%82%A3%E3%82%A2%E3%80%80%E7%AC%AC%EF%BC%92%EF%BC%90%E7%AB%A0</link>
    <pubDate>Mon, 24 Oct 2011 12:44:20 GMT</pubDate>
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  </item>
    <item>
    <title>レジェンド・オブ・フロンティア　第１９章</title>
    <description>
    <![CDATA[「ふっ、フザケールナー！！」<br />
<br />
　がっしゃーん、と小道具を詰め込んだ段ボール箱を盛大にぶちまけながらアルトは怒鳴った。<br />
　悲痛な叫びである。今にも血を吐きそうだ。<br />
　ドレスを脱ぎ散らかしてTシャツとパンツというみっともない格好を晒しながら暴れるアルトをミシェルは避難するように少し離れた場所からそっと見ていた。<br />
<br />
「あー。怒ってる怒ってる」<br />
「あったりまえじゃない！あの決闘をガチでやるっていうから練習してきたのに何よこのオチ」<br />
<br />
　ミシェルとシェリルは、アルトには内緒で口裏を合わせていた。<br />
　それが＜決闘で勝ったほうがハッピーエンドを迎える＞という、マルチエンドである。<br />
　ミシェルが勝った場合とシェリルが勝った場合の２パターンをあらかじめ用意しておいたのだが、もちろんこのことはふたりと脚本を書いたキャシー、そして半ば強引に泣き落としたカナリアしか知らない。荒業もいいところである。<br />
<br />
「ルカのあのぼやきは本音が入ってたな」<br />
「いやあれ本音でしょ。アドリブっていうか完全に思ってることを言っちゃった感じ」<br />
<br />
　それより、と衣装を着たまま小道具の剣をつきつけながらシェリルは詰め寄った。<br />
<br />
「あなた何してるの？何勝手にキスなんてしてるのよバカ！」<br />
<br />
　聞いてないわ、と甲高い声を上げる。<br />
　そのあまりの迫力に思わず後ずさるミシェルだったが、何とか踏みとどまりながら眼鏡のフレームをわざとらしく押し上げた。<br />
<br />
「いや、俺としてはちゃんとお芝居としての王道パターンを守りつつ、ついでに自分もおいしいところが欲しいなあと思ってだね」<br />
「思ってだね、じゃないわよ！確かにあんたが姫と最終的に結ばれちゃったらフロンティア中から非難轟々なのは分かってるけど！だからってキスしなくたっていいじゃない！あたしだってしてないのに！」<br />
<br />
　それが本音かい、と苦笑しながら、まだ暴れているアルトを見る。<br />
　見かねたルカやランカが止めに入ろうとしているようだが、しばらく手がつけられないだろう。<br />
　カナリアのげんこつでも振り下ろされない限り彼の暴走は収まりそうにない。<br />
<br />
「でも君がアルト姫の頬にキスをするシーンで使うはずだった衣装、結局直しが間に合わなくてぎりぎりまで使えるか使えないか分からなかっただろう？あの虫、じゃないあいクンだっけ、あいつもやるよなあ。アハハハハ」<br />
<br />
　責任転嫁で逃れようとしてみたが、無駄だった。<br />
　突き出されたつくりものの剣の先っちょでつんつく突付かれる。<br />
<br />
「いたっ。ちょ、いたたたたたっ。痛いって女王様！」<br />
「うるさいわね！勝手なことばっかり・・・！」<br />
「いいじゃないか、ラストは感動的なハッピーエンドだっただろ！」<br />
「よくないわよばかー！！」<br />
<br />
　ひときわ大声で叫ぶと、シェリルはとどめ、とばかりに剣を突き出し、とっさに顔をかばったミシェルは腹を遠慮なく刺されて、そのまま体を二つ折りにしたまま床に転がって動かなくなった。<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
　おおおおおお男にキスをされた、しかも大勢の見ている前で！<br />
　赤くなったり青くなったり、しまいには土気色に染まる顔を必死でてのひらでこすりながら、アルトは涙をこらえた。<br />
　これでは公開処刑、否、羞恥プレイではないか！<br />
　右腕をルカに、左腕をランカにつかまれてようやくアルトは我を取り戻した。<br />
<br />
「と、とりあえずズボンはいてください先輩！みんな見てます！」<br />
「るっせえ！あのメガネ野郎に人前でキスされたんだぞ！それに比べたらここでスッポンポンになったほうがまだましだ！」<br />
「ダメですダメです！それはいくらなんてもダメですってば！」<br />
<br />
　すっぽんぽん、という言葉の響きにランカは頬を赤くしてうつむいた。<br />
<br />
「ランカさん、何想像してるんですか」<br />
「し、してないよ！」<br />
<br />
　思わず冷静に突っ込んだルカに慌てて首を激しく振ると、ランカは肩で息をしているアルトを見上げた。<br />
<br />
「あの、ごめんねアルトくん。あい君がシェリルさんの大事な衣装破いちゃったせいでシーンが変わったんだよね！」<br />
「・・・・・・・・・いや違うと思うぞ」<br />
<br />
　結局シェリルの衣装替えがあろうとなかろうと、ミシェルは好き勝手にやったに違いないのだ。<br />
<br />
「あの変態眼鏡野郎・・・」<br />
<br />
　ぎりぎりと拳を握り締めるアルトを心配そうに見ながら、しかしランカは必死で彼の機嫌をとろうと笑顔を振りまいた。<br />
<br />
「でもでも、ラストシーン良かったよ！まるでおとぎ話のエンディングみたい」<br />
「実際おとぎ話のエンディングだったんですけどね」<br />
<br />
　ぼそりと呟くルカの声は、だがランカには聞こえなかったようだ。<br />
<br />
「いいなあウエディングドレス・・・」<br />
<br />
　女の子の憧れだよね、と言ってから、しまったと顔を上げると、アルトはひどく複雑かつ微妙な表情で、遠い目をしていた。<br />
<br />
「結婚前にウエディングドレス着たら婚期が遅れるって言いますけど、アルト先輩は心配ないですよね！」<br />
「・・・・・・・・・・・・そうですね」<br />
<br />
　ルカのフォローは空回りするばかりであった。<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
]]>
    </description>
    <category>レジェンド・オブ・フロンティア</category>
    <link>http://mfxxxx.blog.shinobi.jp/%E3%83%AC%E3%82%B8%E3%82%A7%E3%83%B3%E3%83%89%E3%83%BB%E3%82%AA%E3%83%96%E3%83%BB%E3%83%95%E3%83%AD%E3%83%B3%E3%83%86%E3%82%A3%E3%82%A2/%E3%83%AC%E3%82%B8%E3%82%A7%E3%83%B3%E3%83%89%E3%83%BB%E3%82%AA%E3%83%96%E3%83%BB%E3%83%95%E3%83%AD%E3%83%B3%E3%83%86%E3%82%A3%E3%82%A2%E3%80%80%E7%AC%AC%EF%BC%91%EF%BC%99%E7%AB%A0</link>
    <pubDate>Mon, 24 Oct 2011 12:43:50 GMT</pubDate>
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  </item>
    <item>
    <title>レジェンド・オブ・フロンティア　第１８章</title>
    <description>
    <![CDATA[<br id="NINJASELECTIONID" style="clear: both" />
　待て、と勢いで青の騎士の腕を掴んだシェリルは、次の瞬間奇妙な感触に体が覆われていることに気づいて小さく悲鳴を漏らした。<br />
　まるで体が霧へと姿を変えたかのような、溶けてこのまま空気と混ざり合い消えてしまいそうな感覚。<br />
　ぞっと吐き気がして思わず空いた方の手で口を覆う。だがそれも一瞬のことだった。<br />
　ぎゅっとつむっていた目を再び開くと、そこには見覚えのない暗い場所で、頼りない光がぼんやりと辺りを照らしていた。<br />
　目の前に現れたドレスの裾に気づき、知らぬ間に床に両手をついてしゃがみこんでいたシェリルはゆっくりと顔を上げる。<br />
<br />
「・・・アルト姫」<br />
「王子！」<br />
<br />
　手を延ばしても届かないところにした姫にようやく生身で再会したのだった。<br />
　立ち上がり、その細い体を抱きしめようとして、ふいにすぐ近くで気配を感じて振り返る。<br />
　そうだ、どうしてこの存在を忘れる事ができようか。<br />
<br />
「感動の再会はいかがですか、王子さま」<br />
<br />
　相変わらず人を皮肉ったような笑みでミシェルが言った。<br />
<br />
「招待もしていないのに勝手についてくるなんて、少々行儀が悪いですね。あなた王家の人間でしょうに」<br />
「きさまに言われる筋合いはない！」<br />
<br />
　アルト姫をかばうように手をのばした。<br />
<br />
「勝負はついた。姫は返してもらおう」<br />
<br />
　条件を提示したのもそちらのはず、と険しく睨めば、ミシェルはまるでさきほどの決闘などなかったかのような爽やかな笑みを浮かべながら、前髪を払った。<br />
<br />
「『俺がこの床に膝をつけば、晴れてシェリル王子はフロンティアの次代女王陛下の婿に。あなたが剣を落とせば、アルト姫は私の花嫁に』ええそのとおりです。でもその前に」<br />
<br />
　シェリル王子の背に隠れたアルト姫をちらりと見て視線を配ると、いつの間にか姫の背後に出現した穴から女がひとり現れた。<br />
　ぎょっとして姫とシェリル王子が振り向き、シェリルははっと目を見開いた。<br />
<br />
「おまえは、カナリア」<br />
<br />
　いつの間に、と尋ねる暇もなく、カナリアがアルト姫の細い腕をひっぱった。<br />
<br />
「あ」<br />
「姫！」<br />
<br />
　慌てて差し出すシェリルの手は見事に空振り、アルト姫の体がミシェルの腕に納まる。<br />
<br />
「勝利者には姫の唇を奪う権利を」<br />
「ふざけるな！勝利したのは私ではないか！」<br />
「決闘の勝利者だなんて言ってませんよ。ほら、最後に姫をその手にした者こそが勝利者だと思いませんか？名誉や誇りなどというものはあなたに差し上げますが、ひとりの女性の存在はなにものにも変えがたい」<br />
「ああもう、めちゃくちゃだ！」<br />
「本当に」<br />
<br />
　ぼそりと呟いたのはカナリアの後ろから現れたルカだったが、もはや誰の耳にも届いていないようだった。<br />
<br />
「もう決して、俺はあなたの前には現れないでしょう。ですからどうか、昔に交わした約束を今、ここで果たしてください」<br />
「・・・え？」<br />
<br />
　きょとんとする姫の頤をそっとすくって、青の騎士が目を細める。邪魔な透明のガラスを投げ捨てて、ミシェルは何故か甘い味のする姫の唇に自分のそれを重ねた。<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
＋＋＋＋＋＋＋＋＋＋＋＋＋＋＋＋＋＋＋＋＋＋＋＋＋＋＋＋＋＋＋＋<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
　見るからに自分とは違う世界の人間なのだと少年は思った。<br />
　一瞬怒りにも似た感情が胸を熱くしたが、それ以上に目の前の可憐な少女は美しかった。<br />
<br />
「返して」<br />
<br />
　それ、と白い手を差し出す少女に、ミシェルは動けずに呆然と立ち尽くした。<br />
　このリボンはおそらく、相当値打ちのあるものだろう。　売ればいくらになるだろう、と考える。<br />
　そしてこれを奪って逃げることは簡単だ。少女の体つきや着ているドレスから判断して彼女が追いかけてくることはないだろう。仮に追いかけてきても逃げ切れないはずがない。少女は走ったことすらないのではないだろうか。<br />
<br />
「お願い、返して」<br />
<br />
　目に涙をためながら少女が繰り返す。近づいてこようとしないのは、警戒しているからだろうか。<br />
<br />
（それとも、こんな薄汚れた下賎の人間には近づきたくもないって？）<br />
<br />
　この綺麗なものがほしい、と思う反面、ひどくもやもやと暗い思いがかけめぐる。<br />
　自分にはないもの。決して手に入らないものが目の前に立っている。<br />
<br />
「・・・じゃあ」<br />
<br />
　返すから、とミシェルはリボンを差し出しながら、<br />
<br />
「キスをして」<br />
<br />
　意地悪を言ってみた。<br />
<br />
「・・・え？」<br />
「君は貴族だろう？尊い人はお礼をするときは相手にキスをするんだって、聞いた」<br />
<br />
　嘘である。<br />
　ただ、偶然見かけた書物の絵に、それは豪華なドレスを身にまとったあでやかな女の手の甲に、男がひざまづいて口づけるさまが載っていただけだ。<br />
<br />
「でも、お父様に叱られる」<br />
「内緒にしておけばいいだろう？それともこのリボン、返して欲しくないの」<br />
「・・・返して。それはお母様の形見なの」<br />
「じゃあキスを」<br />
<br />
　リボンを持つ手をさらに差し伸べる。<br />
　その手の甲に口づけてみせろ、という意味だったのだが、少女のとった行動は予想外だった。<br />
　彼女は一瞬ためらってその手をやわらかな両手で包み込むと、正面から目を見て言った。<br />
<br />
「いずれお礼はします。だから返してください」<br />
<br />
　自分はこのフロンティア王国第１８代国王トクガワの娘、アルトである。必ずお礼はするからリボンを返して欲しい。<br />
　そう名乗る姫君に、ミシェルは唖然としたままリボンを取り返され、そしてその後放心したように身動きできずにいる彼をクランが迎えに来たときにはすでに日が暮れて、白亜の王宮がオレンジ色に染まっていたのだった。<br />
<br />
<br />
]]>
    </description>
    <category>レジェンド・オブ・フロンティア</category>
    <link>http://mfxxxx.blog.shinobi.jp/%E3%83%AC%E3%82%B8%E3%82%A7%E3%83%B3%E3%83%89%E3%83%BB%E3%82%AA%E3%83%96%E3%83%BB%E3%83%95%E3%83%AD%E3%83%B3%E3%83%86%E3%82%A3%E3%82%A2/%E3%83%AC%E3%82%B8%E3%82%A7%E3%83%B3%E3%83%89%E3%83%BB%E3%82%AA%E3%83%96%E3%83%BB%E3%83%95%E3%83%AD%E3%83%B3%E3%83%86%E3%82%A3%E3%82%A2%E3%80%80%E7%AC%AC%EF%BC%91%EF%BC%98%E7%AB%A0</link>
    <pubDate>Mon, 24 Oct 2011 12:43:20 GMT</pubDate>
    <guid isPermaLink="false">mfxxxx.blog.shinobi.jp://entry/36</guid>
  </item>
    <item>
    <title>レジェンド・オブ・フロンティア　第１７章</title>
    <description>
    <![CDATA[<br id="NINJASELECTIONID" style="clear: both" />
　かしゃん、と音をたてて床に落ちたのは、真っ二つに割れたブローチだった。<br />
　吸い込まれるような深い漆黒のそれは、わずかに青みがかっていて光を反射する。<br />
　蓋が開いたその中には色あせた小さな写真がはめ込まれていたが、シェリルにはそれが誰なのか分からなかった。<br />
　数秒にも満たない逡巡の後、飛びのいた靴音に顔を上げると、青の騎士は苦笑いを浮かべてゆっくりと剣を放り投げて両手を挙げた。<br />
<br />
「参りました。さすがはフロンティアの次期国王候補殿」<br />
「な・・・」<br />
<br />
　まったく心のこもらない賛辞を受けて、シェリルはかっと激昂する。<br />
　つきつけた刃をそのままに、王子は顔を赤くして怒鳴った。<br />
<br />
「ふざけるな。まだ勝負はついていない」<br />
「いやあ、でもあなたは俺の剣を振り払ったわけですし。一瞬飛びのくのが遅かったら心臓をやられていましたよ。まだ死にたくはないですからね」<br />
「まだだ！おまえの膝を床へつかせれば私の勝ち。私が剣を落とせばおまえの勝ち。そう言ったはずだ」<br />
「命の次くらいに大事なものを床へ落としてしまいましたからねえ。それにほら」<br />
<br />
　と、目で壁をちらりと見やる。<br />
　つられてシェリルが視線を動かすと、映し出された映像の中で、アルト姫は小さく震えながら目に涙を浮かべていた。<br />
<br />
「お姫さまには少々刺激が強すぎたようです。俺は姫を泣かせたいわけではないんですよ」<br />
<br />
　よく言う、と舌打ちして、シェリルは剣を鞘におさめた。<br />
　消化不良もいいところだ。この男はいったい何がしたいのか。<br />
<br />
「ではアルト姫は返してもらおう」<br />
「どうぞご勝手に。この壁を壊したらいかがです？」<br />
「きさま・・・」<br />
<br />
　にやにやと笑う青の騎士に殺意を覚えて一歩踏み込んだが、ミシェルは意に介さず壁の方へと向かった。<br />
　何を、と目を見張るシェリルの前で、青の騎士はとん、と手のひらを壁にあてて握りこむように指を曲げる。<br />
　一拍の後、壁につけた握りこぶしのあたりから紫色の光が漏れ出した。<br />
<br />
「なんだ・・・？」<br />
<br />
　光はやがて人の背の高さほどに大きくなり、中心へと向かうにつれて黒く変色していく。<br />
　ぽっかりと大きな穴が開いたように見えてシェリルは息を呑んだ。この男はやはり魔法が使えたのだろうか。<br />
　壁の向こう側で、ぼんやりした映像に映る姫は不安そうに胸の前で手を組んでいる。<br />
<br />
「ここではない場所。ここからは遠い場所。誰もたどりつけない。しかし森にいる仲間はすぐ近くにいる。俺が言ったことを覚えていますか、姫？」<br />
<br />
　戦場は『こことはほんの少し離れた場所』である、と青の騎士は言った。<br />
　だからアルトは、自分がとらわれているのはガリアの森とは離れた場所であると思っていた。<br />
　だからこそこうして、森の塔と映像を繋いでいるのではないか。<br />
　ミシェルはゆっくりと拳を開いて見せた。その手の中にあったのは紫色の水晶だ。<br />
<br />
「それは・・・。あの、魔法の石ですね？離れた場所と通信ができる、この映像の元となるもの。それがなぜこんな」<br />
<br />
　思わず手を伸ばしかけた腕をぎゅっと引き戻して姫が口を開く。<br />
　ミシェルは作り物のような笑みを浮かべた。<br />
<br />
「これはフォールドクォーツ。次元を超えることを可能とする技術のひとつです。魔法、というにはいささか使い勝手にまだ問題がありますが。簡単に言えばこちらとあちらとの空間を入れ替えることができる」<br />
「まさか、それでは」<br />
<br />
　はっとして、アルトとシェリルは同時に何かを言いかけて、飲み込んだ。<br />
　それを引き継ぐようにミシェルはうなずく。<br />
<br />
「今俺とシェリル王子がいる場所と、アルト姫がいる場所。壁を超えて、われわれは今別の時空にいるのです。それが俺たち【ゼントラン】のネストのひとつでもある」<br />
<br />
　当たり前のようにそう言って、ミシェルは出現した穴に腕を差し込んだ。<br />
<br />
「不思議でしょう？」<br />
<br />
　次元断層。<br />
　それが、いまのシェリル王子とアルト姫との間に立ちはだかる壁だった。<br />
<br />
<br />
<br />
＋＋＋＋＋＋＋＋＋＋＋＋＋＋＋＋＋＋＋＋＋＋＋＋＋＋＋＋＋＋<br />
<br />
<br />
<br />
　ロッカーの中から物音がする、と言い出したのは、エキストラのひとりだった。<br />
<br />
「しかもシェリルさんのロッカーなんですよう」<br />
<br />
　だから不用意に中を開けて確かめるなんてことはできなかったのだ、と彼女は半泣きになりながら訴える。<br />
<br />
「いいわ、私見てくる」<br />
「わ、私も行きます！」<br />
「じゃあ私も・・・」<br />
<br />
　きっと顔を鋭くしたシェリルに、ランカとナナセも続いた。<br />
<br />
「大丈夫かね女王様たちは・・・」<br />
「うーん。とりあえずロッカー室の前で待機しておこうぜ」<br />
<br />
　まさか、泥棒や変質者の類ではないだろうな、とミシェルとアルトは緊張した。<br />
　こんなとき、まっさきに突入するべきなのだろうが、シェリルが行くといったら彼女は絶対に行くのだ。<br />
　そしてそれに続こうとすれば「この変態！」と殴られるのは必至である。<br />
　掃除道具入れから取り出したホウキやらちりとりやらを手にしてロッカー室へ入っていく三人を見送りながら、ふたりは微妙な表情を浮かべて、いつでも飛び出せるように構えた。<br />
<br />
「もしかして、シェリルの衣装を破いたヤツかな」<br />
「かもな」<br />
<br />
　でもなあ。<br />
　呟くミシェルは、だがそこで言葉を止めてしまった。<br />
<br />
「緊張感ないよな」<br />
<br />
　なんだかなあ、と嘆息した。<br />
　そろそろ稽古も佳境に入るというのに、一向にラストシーンの決定稿が上がってこない。<br />
　不安極まりないふたりである。<br />
<br />
<br />
]]>
    </description>
    <category>レジェンド・オブ・フロンティア</category>
    <link>http://mfxxxx.blog.shinobi.jp/%E3%83%AC%E3%82%B8%E3%82%A7%E3%83%B3%E3%83%89%E3%83%BB%E3%82%AA%E3%83%96%E3%83%BB%E3%83%95%E3%83%AD%E3%83%B3%E3%83%86%E3%82%A3%E3%82%A2/%E3%83%AC%E3%82%B8%E3%82%A7%E3%83%B3%E3%83%89%E3%83%BB%E3%82%AA%E3%83%96%E3%83%BB%E3%83%95%E3%83%AD%E3%83%B3%E3%83%86%E3%82%A3%E3%82%A2%E3%80%80%E7%AC%AC%EF%BC%91%EF%BC%97%E7%AB%A0</link>
    <pubDate>Mon, 24 Oct 2011 12:42:53 GMT</pubDate>
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  </item>
    <item>
    <title>レジェンド・オブ・フロンティア　第１６章</title>
    <description>
    <![CDATA[<br id="NINJASELECTIONID" style="clear: both" />
　大きな鳥がはばたくような音がしてシェリルが振り返ると、何事もなかったかのように涼しい顔をしたミシェルがにやりと笑ってそこに立っていた。<br />
　慌てて剣を抜くが、それよりもどうやってここまで来たのか、ついさきほどまでアルト姫の近くにいたのではないのかと思考を巡らせる。<br />
　察したように、ミシェルは悠々と柱に寄り掛かって腕を組んだ。<br />
<br />
「王子様のお相手は悪魔の方が物語として盛り上がるでしょう？黒い翼のある魔族の騎士、なんてどうでしょう」<br />
「ふざけるな」<br />
<br />
　絞り出すようにうめいて、シェリルは外を見降ろしたい衝動に駆られたが、踏みとどまった。<br />
<br />
「おまえは魔法が使えるのか」<br />
「科学と呼んでほしいですね。似たようなものですが、どちらも万能ではない」<br />
<br />
　しゃり、と涼やかな音をたてて青の騎士は剣を抜いた。<br />
　壁に映し出されたアルト姫の青白い顔をうかがって、優しく微笑む。<br />
<br />
「このどうしようもなく馬鹿馬鹿しい喜劇を終わらせたら、あなたにお話しましょう。かつて我々がどこで出会ったか。あなたはお忘れでしょうが、俺は今でも鮮明に思い出すことができる、あのときの幸運を」<br />
<br />
「馬鹿馬鹿しいだと？神聖な決闘を侮辱するか！」<br />
<br />
　始まりの合図もない、ここには審判などいないのだ。<br />
　剣を抜く動作そのものが笛の役割を果たしているのだから。<br />
　シェリルは、とん、と羽ばたくように軽く床を蹴って剣を突き出した。<br />
　軽薄な男の軽口など一掃してしまえばいい。様子見のつもりで、だが加減などするはずもなく騎士の胸元を狙ったが、余裕で振り払われてすかさずあとずさった。びぃん、と刃が鳴る。<br />
　シェリルの持つ剣は過剰な装飾もつけられておらず、どう見ても一般に武器屋で売られているような代物だった。だが代々続く王家の宝には魔力が宿っているという。<br />
　第一継承者には王冠を。第二継承者には剣を。<br />
　どちらも黄金で作られたわけでも宝玉が埋め込まれているわけでもない。<br />
<br />
（真に必要なものはそんなものではないのだから）<br />
<br />
　一方、ミシェルの使う剣は細くしなやかで、剣術試合などで用いられるものに、刃を改良したものだった。<br />
　こちらも、決闘と言うにはあまりにも緊迫感がない。<br />
　滑稽だな、とミシェルはシェリルやアルト姫に悟られないようこっそりと笑みを浮かべた。<br />
　滑稽なのは、決して「馬鹿馬鹿しい喜劇」ではなく、誰にも悟られぬことを得意とする自分の心が、いつの間にか自身にも見え辛くなっていることだ。<br />
　国のためだとか。仲間のためだとか。<br />
　何を偉そうに。<br />
　激しい動きでずれそうになる眼鏡をそっと押し上げて、真正面から睨み返してくるシェリル王子の瞳を見つめた。<br />
　自分が余裕のある嫌な笑みを浮かべている自覚はある。<br />
　だがシェリルもアルト姫も気づかないだろう。<br />
　分厚く着込んだ服の下は熱を持ち、汗を流していることなど。<br />
<br />
（男ってのはさ、姫）<br />
<br />
　ちらりと、柔らかな映像の向こうで青ざめた顔でこちらを見守るアルト姫を見た。<br />
　そんな顔を見たいわけではないのに。<br />
<br />
「意地を張るのが性分ですよねえ？」<br />
「何をごちゃごちゃ言っている！」<br />
<br />
　ぶん、とその細い腕に似合わない勢いで持ち上げられた剣が頭上すれすれのところを襲った。<br />
　素早く身をかがめて地面を蹴り、次の攻撃が間に合わないだろうことを予測して柄を握る。<br />
<br />
「これで、終わりだ」<br />
「シェリル王子！」<br />
<br />
　ミシェルがにやりと笑うのと、アルト姫が叫ぶのは同時だった。<br />
<br />
「恨みっこなしだぜ、王子さま」<br />
<br />
<br />
<br />
+++++++++++++++++++++++++++++++<br />
<br />
<br />
<br />
　ふわりと空を飛ぶ頼りないリボンを目で追いながら、少年は眩しげに目を細めた。<br />
　高くそびえる王宮、足取り軽く行き交う人々。一糸乱れぬ行進でメインストリートを抜けて行く兵士たち。風に揺れる、フロンティアの旗。<br />
　何もかもが美しく、また幸せそうだった。<br />
　その片隅でうごめく暗雲など微塵も気づかない城下町の人々は笑顔で王と政治と軍を讃える。<br />
　平和で良い国だと。それが永遠に続くと信じて。<br />
<br />
「嘘ばっかりだ」<br />
<br />
　ひょい、と背を延ばして落ちてきたリボンを掴んだ。<br />
　薄くも丈夫な布なのだろう、織目細かく色は深い赤で、上品だった。派手ではないが地味でもない。<br />
　安物ではないだろう、と勝手に見当をつけて握りしめる。どこから飛んできたのか。<br />
<br />
「待って、」<br />
<br />
　か細い、今にも泣きそうな声がして振り返る。<br />
　少年は唖然として、間の抜けた顔で立ち尽くした。<br />
<br />
「お姫さま？」<br />
<br />
　物語で伝え聞くだけのそれをつい口にしてしまったのは、その声の主の正体を知っていたわけではなくただ想像する「お姫さま」が姿かたちを伴って現れたからだと、少年は後になって幼馴染に笑ったのだった。<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
]]>
    </description>
    <category>レジェンド・オブ・フロンティア</category>
    <link>http://mfxxxx.blog.shinobi.jp/%E3%83%AC%E3%82%B8%E3%82%A7%E3%83%B3%E3%83%89%E3%83%BB%E3%82%AA%E3%83%96%E3%83%BB%E3%83%95%E3%83%AD%E3%83%B3%E3%83%86%E3%82%A3%E3%82%A2/%E3%83%AC%E3%82%B8%E3%82%A7%E3%83%B3%E3%83%89%E3%83%BB%E3%82%AA%E3%83%96%E3%83%BB%E3%83%95%E3%83%AD%E3%83%B3%E3%83%86%E3%82%A3%E3%82%A2%E3%80%80%E7%AC%AC%EF%BC%91%EF%BC%96%E7%AB%A0</link>
    <pubDate>Mon, 24 Oct 2011 12:42:26 GMT</pubDate>
    <guid isPermaLink="false">mfxxxx.blog.shinobi.jp://entry/34</guid>
  </item>
    <item>
    <title>レジェンド・オブ・フロンティア　第１５章</title>
    <description>
    <![CDATA[　今からそちらへ参りますよ、と口先だけは丁寧に言い放ち、青の騎士の姿が消えた。<br />
　それを追いかけようか一瞬逡巡し、アルト姫はしかし頼りない映像の向こう側で呆然としているシェリルを放ってはおけなかった。<br />
　それに追いかけようにも、ミシェルの姿はすでになく、ただかつかつという隠しもしない足音が扉の向こうへ消えていくのみで、もはやアルトにできることは何もなかった。<br />
<br />
「シェリル王子」<br />
「・・・・・・・・・・」<br />
<br />
　うな垂れているシェリルにかける言葉が見つからず、アルトは唇をきつく噛んだ。<br />
　手を伸ばせば届きそうな距離なのに、その姿はお互い幻なのだ。<br />
　王子の顔色は青白く、今にも倒れそうなほどだったが、ふとわずかに見上げた瞳に曇りはなかった。<br />
<br />
「申し訳ありません姫。私は、私は無力すぎる。あまりにも浅はかで無知だった。御伽噺のように、さらわれた姫君を悪の手から颯爽と救い出す勇者にはなれないのだな」<br />
「お顔をお上げ下さいシェリル王子。こうしてあなたは私を救いに来てくださったではありませんか。お父様や兵士たちを説得するにも障害はあったでしょうに」<br />
<br />
　だがその時点で騙された。<br />
　国王の精鋭部隊がはじめから【ゼントラン】のスパイによって構成されていたのか、それとも年月をかけ、怪しまれぬよう人員を増やしていったのかは分からない。<br />
　ただ、それをアルト姫には告げない方がいいだろう、とシェリルは思った。<br />
　それはつまり、トクガワ国王の無力さをつきつけることになる。<br />
<br />
（この国は弱すぎる。アルト姫が女王に即位したとして、何と荷の重いことだろうか）<br />
<br />
　隣国にはギャラクシーが。<br />
　国中に【ゼントラン】が。<br />
　そして軍内部にはクーデターを企む不穏分子が。<br />
　平和なフロンティアの影にひそみ、誰も気づかないまま侵食していく。<br />
<br />
「姫。私はご覧のとおり、情けない大馬鹿ものです。それでも私はあなたと、あなたの愛するこのフロンティアを守りたい。いや、守ってみせると誓いましょう。全身全霊を尽くし、剣となり盾となり、生涯をあなたとフロンティアに捧げましょう。あなたはこんな私を笑いますか」<br />
<br />
　第三者からすれば、嘲笑ものだろう。<br />
　何を子供のようなことを、とあしらわれて終わりだ。<br />
　だがアルト姫は、灯りの加減によってはわずかに金にも見える瞳を瞬かせると、笑顔を浮かべた。<br />
<br />
「ええ、私は嬉しいときや楽しいときにしか笑いませんもの」<br />
「アルト姫・・・」<br />
<br />
　ごくりと唾を飲み込んで、シェリルは狼狽する。<br />
　そんな王子の素の表情に、アルト姫は軽やかに声をたてて笑った。<br />
<br />
「父上は、私が本当に嫌なのであれば、婚約は取り消すと言って下さいました。けれど私は自分の立場もあなた様の立場も、これからのこともきちんと理解しております」<br />
「アルト姫、それは」<br />
<br />
　慌てて何かを言おうとする王子を制して、姫は続ける。<br />
<br />
「ですが、私たちのような立場の人間がおかしなことを思われるかもしれませんが、やっぱり、シェリル王子、私はあなた様からの言葉が欲しい」<br />
<br />
　決められたからではなく、お互いがそう望むからなのだという確かな証拠が欲しい、とアルト姫は言った。<br />
　アルトの両腕が上がって、ふたつのてのひらがこちらへ向けられる。<br />
　つられるようにシェリルは腕を上げててのひらを同じようにかざした。<br />
　ぺたりと冷えた壁の感触がもどかしくて涙が出そうになるが、物理的に隔てられているとしても、アルト姫のてのひらのぬくもりが伝わるようだった。<br />
<br />
「あなたを愛しています。私の花嫁になって下さいますか」<br />
<br />
　もっと、もっと近づきたい。<br />
　そう願うかのように、額をこつんとつけた。<br />
　見上げるとアルト姫の顔がまじかにあり、彼女も額を壁にあてて、はっきりとこう答えたのだった。<br />
<br />
「喜んで、シェリル王子」<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
「だから出て行かなくて正解だったろう」<br />
「はあ・・・」<br />
<br />
　くすりと笑って片目をつむってみせたカナリアに、ルカは嘆息した。<br />
<br />
（こんなことしている場合じゃないのに）<br />
<br />
　そんな心の声が聞こえたわけでもないだろうが、カナリアは落ち着いた笑みを浮かべた。<br />
<br />
「ここから先は男と男の一騎打ちだ。誰にも邪魔はできん」<br />
「それは・・・ええ、そうですね」<br />
<br />
　しかし我が主であるシェリル王子が負けることなど、万に一つもないとルカは思った。<br />
<br />
「でも驚きました。殺されるんじゃないかと」<br />
「おまえも賢いようでいてなかなか間抜けだな」<br />
「・・・・ひどいです」<br />
<br />
　恨めしげに言って、しかし確かにそのとおりだと気落ちする。これが普通の悪漢であればすでに命はなかっただろう。<br />
<br />
「僕を止めたのは、邪魔をさせないためですか？」<br />
<br />
　これだけの精鋭がそろっているのなら、シェリル王子を囲むことも簡単だろう。だがそうしないのは、彼らの仕事がシェリル王子をどうこうすることではなく青の騎士のために彼の歩く道を舗装しておくことだからなのだろう。<br />
<br />
「ついでに邪魔なハエも追い払えたことだし」<br />
「邪魔なハエ？」<br />
「これは一応、おまえたちのためでもある。結果論だがな」<br />
「はあ」<br />
<br />
　分かったような分からないような。<br />
　微妙な顔で首を傾げるルカに母親のような慈悲深い笑みを見せた後、カナリアはふと天を仰いだ。<br />
<br />
「そろそろ来るな」<br />
<br />
　何が来るのだろう、と空を見上げると、見たこともない大きな鳥が羽を広げて飛んでいるのが見えた。<br />
　やがてそれは風に乗ってゆっくりとこちらへ近づき、塔の屋上へと舞い降りる。<br />
<br />
「鳥じゃない」<br />
<br />
　呟いて、とっさにルカはそれを追って駆け出した。<br />
　カナリアは止めなかった。<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
]]>
    </description>
    <category>レジェンド・オブ・フロンティア</category>
    <link>http://mfxxxx.blog.shinobi.jp/%E3%83%AC%E3%82%B8%E3%82%A7%E3%83%B3%E3%83%89%E3%83%BB%E3%82%AA%E3%83%96%E3%83%BB%E3%83%95%E3%83%AD%E3%83%B3%E3%83%86%E3%82%A3%E3%82%A2/%E3%83%AC%E3%82%B8%E3%82%A7%E3%83%B3%E3%83%89%E3%83%BB%E3%82%AA%E3%83%96%E3%83%BB%E3%83%95%E3%83%AD%E3%83%B3%E3%83%86%E3%82%A3%E3%82%A2%E3%80%80%E7%AC%AC%EF%BC%91%EF%BC%95%E7%AB%A0</link>
    <pubDate>Mon, 24 Oct 2011 12:41:58 GMT</pubDate>
    <guid isPermaLink="false">mfxxxx.blog.shinobi.jp://entry/33</guid>
  </item>
    <item>
    <title>レジェンド・オブ・フロンティア　第１４章</title>
    <description>
    <![CDATA[「シェリル王子！！」<br />
「あ・・・アルト姫！」<br />
<br />
　最上階にひとつだけ、あまりに貧相な扉を開けた瞬間、部屋の奥に浮かび上がるその姿に、シェリル王子は我を忘れて駆け寄った。<br />
　ルカの姿がないことも、後から続いてきているはずの兵たちがいないことも、そしてここが【ゼントラン】のアジトのはずであることも、すべてが真っ白になった。<br />
<br />
「姫、ご無事ですか」<br />
<br />
　だが彼女の細い体を抱きしめようと手を伸ばした瞬間、ふとその姿が揺らいで薄くなった。<br />
　唖然と立ち尽くして、ああこれは幻なのかと王子は疑ったが、しかし姫は消えることなく、ただ寂しげに表情を曇らせていた。<br />
　ぺたり、と冷たい感触がてのひらを通して伝わる。ざらざらとした石の壁が、そこにはあった。<br />
<br />
「これは・・・」<br />
「ああ、やっとご到着ですか」<br />
「きさま・・・」<br />
<br />
　緊迫した空気を破るように、余裕に満ちた声がシェリルの苛立ちを増幅する。<br />
<br />
「青の騎士・・・」<br />
<br />
　アルト姫の背後から、長身の男が姿を現してわざとらしく頭を垂れた。<br />
<br />
「ようこそシェリル王子。【ゼントラン】の幻惑の塔へ。長い長い階段の果てに姫と感動の再会をはたされたご気分はいかがですか？」<br />
「ふざけるな！」<br />
<br />
　かっと怒りに顔を赤くして声を荒げ、腰の剣に手をそえる。<br />
<br />
「どういうことだ」<br />
<br />
　尋ねる声が掠れて、震える。<br />
　やっと、姫を救い出せると思っていたのに。<br />
　なぜこんなにも遠いのか。<br />
<br />
「何がですか？我々がそこにいないことが？それとも大切な従者の姿が見えないことですか？」<br />
「・・・・きさまら、謀ったな」<br />
「鈍いですねえ。聡明なギャラクシー帝国第２王子ともあろうお方が、今の今まで何も気づかなかったのですか？あなたを陥れようとした参謀閣下を引き受けて差し上げたというのに、礼のひとつもないとは」<br />
<br />
　見る間に、シェリルの顔が青ざめていった。<br />
　何も知らず、青の騎士のてのひらで踊らされていたことだけではない。<br />
　それを、姫に知られたというみじめさに、王子は崩れ落ちそうになった。<br />
　ああ、こんな情けない姿を見られるとは！<br />
　天井を仰ぎたい衝動に駆られたが、それでも王子はこちらを痛ましげに見つめる姫に無理やりほほ笑んだ。<br />
<br />
「ここにいないのなら、そこへ私が向かうだけだ。ルカがいないのも、カナリアたちの姿がないのも、おまえの仕業か」<br />
「もちろんです。あの賢い従者どのに危害は加えませんよ。我々は面倒な争い事は好みませんので」<br />
<br />
　ぬけぬけと言い放って、胸の前で手を組んで震えるアルト姫の腰を抱いた。<br />
<br />
「あ・・・」<br />
「どうでしょう王子。恥をかかされたその仕返しをしたくば、この俺と決闘をしませんか」<br />
「な、何を言っているのです！」<br />
<br />
　ミシェルの腕から逃れようとつたない抵抗をしながら、アルト姫は叫んだ。<br />
<br />
「姫はそこで見物なさっているといい。俺がこの床に膝をつけば、晴れてシェリル王子はフロンティアの次代女王陛下の婿に。あなたが剣を落とせば、アルト姫は俺の花嫁に」<br />
「勝手なことを！」<br />
<br />
　自分の意思を無視して話を進めるミシェルに憤り、固く抱きしめたまま放そうとしない彼の腕を必死ではずそうともがいたが、青の騎士の鍛えられたそれはぴくりともしなかった。<br />
<br />
「元よりあなたに選択権はないのです、アルト姫」<br />
<br />
　それも国王の娘に生まれた宿命なのでしょう、と。<br />
　憐れみに満ちたセリフとは裏腹に、青の騎士は意地の悪い笑みを浮かべて言った。<br />
<br />
「勝利者には姫君の唇を奪う権利を」<br />
<br />
<br />
<br />
＋＋＋＋＋＋＋＋＋＋＋＋＋＋＋＋＋＋＋＋＋＋＋＋＋＋＋＋＋＋＋＋<br />
<br />
<br />
<br />
「最悪だ」<br />
「ひ、ひどいです！」<br />
<br />
　ぽつりとつぶやいたアルトに呼応するように、ランカは顔を赤くした。<br />
<br />
「そーお？おもしろいじゃない。やっぱり決闘は必要よ」<br />
「台本にないこといきなりするなよな！しかも通してリハやるの、これが最後なんだぞ！どうするんだよ！」<br />
「なに怒ってるんだよ姫」<br />
「姫って言うな！」<br />
<br />
　顔を真っ赤にして拳を握るアルトに、ミハエルとシェリルは互いに顔を見合せてうなずき合う。<br />
<br />
「きっとキャシ・・・グラス中尉もおもしろいって言ってくれるさ。もともと決闘シーンはあるんだし」<br />
「そうよ。ちょっと盛り上げただけじゃない」<br />
「ふーざーけーるーなぁぁぁぁ！！」<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
「勝った方が勝利のキス？でも結局これ、シェリル王子とアルト姫のハッピーエンドって決まってるのよ」<br />
「知ってますよ」<br />
　でも、必ずしも決闘に勝った方が姫と結ばれるとは限りませんよね、と。<br />
　青の騎士、もとい眼鏡のスナイパーはにやりと笑った。<br />
<br />
]]>
    </description>
    <category>レジェンド・オブ・フロンティア</category>
    <link>http://mfxxxx.blog.shinobi.jp/%E3%83%AC%E3%82%B8%E3%82%A7%E3%83%B3%E3%83%89%E3%83%BB%E3%82%AA%E3%83%96%E3%83%BB%E3%83%95%E3%83%AD%E3%83%B3%E3%83%86%E3%82%A3%E3%82%A2/%E3%83%AC%E3%82%B8%E3%82%A7%E3%83%B3%E3%83%89%E3%83%BB%E3%82%AA%E3%83%96%E3%83%BB%E3%83%95%E3%83%AD%E3%83%B3%E3%83%86%E3%82%A3%E3%82%A2%E3%80%80%E7%AC%AC%EF%BC%91%EF%BC%94%E7%AB%A0</link>
    <pubDate>Mon, 24 Oct 2011 12:40:30 GMT</pubDate>
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  </item>
    <item>
    <title>レジェンド・オブ・フロンティア　第１３章</title>
    <description>
    <![CDATA[「アイ君がいない？」<br />
<br />
　涙目になって慌てているランカをなだめるようにミハエルが背中を抱いて椅子に座らせた。<br />
　何事かと、アルトやシェリルたちも寄ってくる。<br />
<br />
「そうなの。今日お仕事終わって、学校に来ようと思って車に乗ろうとして、バスケットに入れていたはずのアイ君がいなくなってて、それで探したんだけどどこにもいなくて」<br />
<br />
　いよいよぽろぽろ泣きだしたランカに、シェリルがそっと優しく髪を撫でた。<br />
<br />
「大丈夫よ、きっとすぐ戻ってくるわ」<br />
「シェリルさん・・・」<br />
<br />
　大好きな憧れの先輩の励ましに、ランカは涙をぬぐった。<br />
<br />
「ありがとうございますシェリルさん。お稽古の準備邪魔してごめんなさい」<br />
<br />
　すっくと立ち上がってぺこりとお辞儀。<br />
　こすったせいでかすかに赤くなった目を瞬かせて、おそるおそる尋ねる。<br />
<br />
「ここで見学していいですか？」<br />
「もちろん！」<br />
<br />
　そろそろ修羅場なのよ、とシェリルは楽しそうにウインクした。<br />
<br />
<br />
＋＋＋＋＋＋＋＋＋＋＋＋＋＋＋＋＋＋＋＋＋＋＋＋＋＋＋＋＋＋＋＋＋＋＋<br />
<br />
<br />
　目の前にそびえる一本の塔を前に、シェリルは息をのんだ。ひどく古いその建物は古代の遺跡が朽ちずに取り残されたものなのだろうか。警戒して辺りを見渡したが、【ゼントラン】の兵たちがいる気配はない。それどころかしんと静まり返ったそこは森の中であるにも関わらず、いつの間にか鳥や葉ずれの音すらしなくなっていた。<br />
　ただ、地面を踏む馬の足音と、自分の息遣いだけが奇妙に響いて苦しい。<br />
<br />
「あそこにアルト姫が」<br />
<br />
　ぽつりと呟いて、シェリルは軽い違和感を覚えた。<br />
　本当にあそこに姫がいるのだろうか。<br />
　そうであるならなぜ、【ゼントラン】の兵士がいないのか。<br />
　塔の中に隠れてこちらの様子をうかがっているのだろうか。<br />
<br />
「どうなさいますか、王子」<br />
<br />
　ルカが落ち着きなく唇を湿らせながら聞いてきた。彼も何か妙な違和感に捕らわれているらしく、しきりに背後の兵士たちを気にしている。<br />
<br />
「様子を見に兵を出しますか」<br />
<br />
　それとも、一気に門を破って急襲をかけるか。<br />
　どちらにせよ、塔の中に青の騎士がいるのならこちらの動きはとうに知られているはず。高いところから見下ろして嘲笑っているのかもしれない。<br />
　シェリルはきっと顔を上げると、背後に控える部下たちに、続け、とだけ言葉少なく命じた。<br />
　緊張に張りつめた様子のシェリルの背を少し離れたところから見ていたカナリアに、兵の一人がそっと近づく。<br />
<br />
「どうする？」<br />
「・・・第四の回廊付近までついていく。そこから先はひとりで行ってもらおう」<br />
「あの従者は」<br />
「こちらで身柄を押さえる」<br />
「了解」<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
　馬を降り、いつでも剣を抜けるように常に意識しながら、シェリルは先頭に立って門を開いた。すぐ後ろにルカが控え、その後にカナリアたちがついてくる。<br />
<br />
「王子、危険です。まずは誰かに先を行かせましょう」<br />
「いや、国王には私が自分で行くと言い出したのだから私が先頭を行かねばならない」<br />
<br />
　それは、シェリルの行動を常に見ている兵士たちへ対する虚勢でもあった。彼らは信頼に値する精鋭だが、自分はこの国の王子ではない。国王の命令で従ってくれているだけで、値踏みされているのは理解していた。<br />
<br />
「大丈夫ですか、シェリル王子」<br />
<br />
　背後からカナリアの声がする。<br />
　どこか余裕を含んだ声に、シェリルは振り向かずにああ、とだけ答えた。<br />
　無様な姿を見せるわけにはいかない。<br />
　自分はアルト姫と結ばれるにふさわしい人物として、認められねばならないのだから。<br />
　一歩間違えれば崩れそうな階段を上り、延々と続く錯覚に襲われるほど長い回廊を早足で歩いてはまた階段を上る。<br />
<br />
（この塔は何のために建っているんだろう。部屋があるわけでもない、ただひたすら階段があるだけだ。それも上の階へ続く階段は回廊をいちいちぐるりと回ったところにある。これじゃまるで・・・）<br />
<br />
「ルカ、どうした。大丈夫か」<br />
<br />
　考え事をしていたためか、少し遅れたルカにシェリルが振り向いて声をかける。<br />
<br />
「はい、大丈夫です」<br />
<br />
　ぱっと顔を上げて返すと、王子は少し笑ってうなずいた。<br />
　シェリルが大きく角を曲がり、一瞬姿を消す。<br />
　それに続こうと足を踏み出したところで、ルカはすぐ後ろに人の気配を感じた。<br />
　ぱしっ、と腕をつかまれ、何事かと振り返ると同時に強いアルコールのにおいを感じて、そのまま意識がもうろうとする。<br />
<br />
「な・・・・？」<br />
「悪いが、おまえはここまでだ」<br />
<br />
　やけに優しげな声はそう言って、崩れ落ちるルカの体を受け止めた。<br />
<br />
（王子・・・・！）<br />
<br />
<br />
<br />
]]>
    </description>
    <category>レジェンド・オブ・フロンティア</category>
    <link>http://mfxxxx.blog.shinobi.jp/%E3%83%AC%E3%82%B8%E3%82%A7%E3%83%B3%E3%83%89%E3%83%BB%E3%82%AA%E3%83%96%E3%83%BB%E3%83%95%E3%83%AD%E3%83%B3%E3%83%86%E3%82%A3%E3%82%A2/%E3%83%AC%E3%82%B8%E3%82%A7%E3%83%B3%E3%83%89%E3%83%BB%E3%82%AA%E3%83%96%E3%83%BB%E3%83%95%E3%83%AD%E3%83%B3%E3%83%86%E3%82%A3%E3%82%A2%E3%80%80%E7%AC%AC%EF%BC%91%EF%BC%93%E7%AB%A0</link>
    <pubDate>Mon, 24 Oct 2011 12:39:56 GMT</pubDate>
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  </item>
    <item>
    <title>レジェンド・オブ・フロンティア　第１２章</title>
    <description>
    <![CDATA[　突然雷鳴のような怒号が上がり、シェリルは慌てて馬を止めて振り返った。<br />
　アルト姫が捕らわれている塔はもう目の前だ。【ゼントラン】の兵たちが襲ってきたのだろうか。だが木々を避けてこちらへ突進してくる群れの中に巨人の姿はない。<br />
<br />
「王子！」<br />
「襲撃だ！固まるな！散れ！！」<br />
<br />
　シェリルの指示に、よく訓練された精鋭部隊の兵士らはためらうことなく三々五々森の中へ散らばっていった。いちいち命令を復唱することもない。そして最低限の人数をシェリルの護衛として残しておくのも忘れなかった。シェリルを指揮官とはしているが、彼ら国王の直属部隊はそれを管理する部隊長がきちんと存在している。そして彼女は自分の役割を忘れはしなかった。<br />
<br />
「王子、わたしから離れないでください」<br />
「ありがとう。だが君はそもそも衛生兵だろう？」<br />
<br />
　いや決して、腕を疑っているわけではないのだが、と苦笑して襲いかかる敵を待つ。<br />
　削られた山から降りてくる様は、見たことはないが話には聞く津波のようなものかと、シェリルはどこか冷静に考えていた。<br />
　囲まれてはおしまいだ。だが背後には塔がそびえたっており、そこから敵の気配はない。<br />
　不気味に沈黙したまま、ただ森の中にうごめく矮小な人間たちを嘲笑いながらそびえたっていた。<br />
<br />
「ご心配なく。わたしにはこれがありますから」<br />
<br />
　そう言って、部隊長は背負っていた大きな筒を取り出し、木々の間からこちらへ向かってくる敵に向けて構えた。<br />
<br />
「カナリア、それは？」<br />
「見ていてください。ああ、少し離れて」<br />
<br />
　そう言ってすぐ近くに人がいないことを確認すると、彼女は馬にまたがったままピン、と何かを弾くしぐさをした。<br />
　突如、筒から高速で光の塊が飛び出し、駆け寄ってくる敵の群れへと飛び込んでいく。ドォン、と派手な音をたてて煙が舞った。<br />
<br />
「うわ」<br />
<br />
　その衝撃と轟音にシェリルは耳を押えて、目を閉じる。<br />
　すべての音が、ぴたりと止まった。<br />
　そろそろと目を開いて、シェリルは愕然とした。すぐ迫ろうとしていた敵軍が、地面に伏せたまま誰も動かない。ときおり馬たちの悲壮な悲鳴が微かに響いたが、土を蹴る音も、狙い打てと命じる叫びもない。<br />
　ただ鼻をくすぐる硝煙のにおいだけがたちこめ、もうもうと白い煙があたりを覆っていた。<br />
<br />
「・・・それは」<br />
「相手が固まって降りてきたのが幸いでした。ただ援軍がこないとは限りません。とにかく塔へ急ぎましょう」<br />
<br />
　詳しい説明をすることもなく、カナリアは再び集結しつつある部下たちの配置を確認するためにシェリルから離れていった。<br />
<br />
「・・・いまのは、何だ。フロンティアにこのような技術があるとは聞いていない」<br />
「王子、急ぎましょう。ともかく敵はまだいます」<br />
<br />
　呆然としているシェリルにそっとルカが声をかけた。<br />
　はっとして顔を上げ、後ろにずらりと揃った部隊を見渡す。<br />
　人数こそ少ないが、頼れる兵士の集団であることを証明してみせた。<br />
　みながそんな、自信に満ちた顔をしていた。<br />
<br />
「行こう」<br />
<br />
　すぐさま塔へ振り返り、手綱を引く。だから、彼は気づかなかった。<br />
　整列した部隊の兵士らが、カナリアの手にしているものに何の疑問も持たなかったことを。<br />
　カナリアはシェリル王子のすぐ後ろにつけながら、左手に持った紫水晶をぷらぷらと揺らして見せた。<br />
　彼女の悪戯っぽいしぐさに、部下たちの間から小さな笑い声が上がる。<br />
<br />
「さて、はっきりと死体は確認していないが、良かったのかな」<br />
『いいさ、その便利なものを集めてくれるだけで』<br />
「クランがやってくれるだろう。これを持っているのはレオンだけとも限らん」<br />
『あの男の鼻っ柱をへし折るにはちょうどいいかもしれないな』<br />
<br />
　からかうような仲間の言葉に、カナリアはくす、と笑った。<br />
<br />
「ギャラクシーの王子様も相当のんきだな」<br />
<br />
　人を疑うことを知らない、と、ぴんと背筋を伸ばして髪を揺らす隣国の王子を見つめて目を細めた。<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
　意識が浮上すると同時に体のあちこちから鈍い痛みを感じた。<br />
　うめいて、起き上がろうと体を動かすと額から流れたぬるりとしたものが目に入り、視界は真っ赤に染まる。<br />
　汚れた袖で乱暴にぬぐって、レオンはすぐそばに転がっている剣を地面につきたててゆっくり上半身を起こした。<br />
　周囲を見渡せば動いているものは数人で、だが彼らは茫然と座り込んだまま現状を認識できていない。<br />
<br />
「おのれ・・・」<br />
<br />
　ぎりぎりと血が出るほど唇をかみしめて、握りしめたこぶしで地面をたたく。<br />
　シェリルの部隊と【ゼントラン】とがぶつかり、どちらかが圧倒的に不利になった場面で飛び出して行って有利な方につく。どちらかが敗北した後に、戦いで傷つき生き残った方を、レオン率いる部隊が襲って皆殺しにする。そのはずだった。<br />
<br />
　しかし、ふたつの勢力が戦いに入る前に出た指示によって完全に計画が崩れたのだった。<br />
『いまだ、襲いかかれ！』<br />
と。<br />
　突然のその指示に、だが逆らうことはできなかった。<br />
　なぜなら目の前には【ゼントラン】が支配している塔がある。そしてもうひとつ、知らされることのなかった部隊が存在していることを知らされる。<br />
<br />
『おまえたちの後ろにつけてある』<br />
<br />
　監視していたのか、と怒りを押し殺して尋ねたが、水晶の向こう側で【ゼントラン】を束ねる騎士は軽やかに笑って、反論したのだった。<br />
<br />
『ついさっき集結した別同部隊です。巨人族のね』<br />
<br />
　これではシェリルの部隊と【ゼントラン】との戦いをただ見物しているわけにはいかなくなった。背後は巨人たちが見張っている。<br />
　レオンは決断するしかなかった。<br />
　謀られたのか、それとも国王直属の精鋭部隊の力を見誤っていたのだろうか。先頭にいたわけではないレオンは何が起きたのか理解できないまま、爆風に吹き飛ばされた。<br />
　ともかく事の次第を連絡しなければ、と、少し離れた所に落ちている水晶を拾い上げようとしたところでずん、と地響きがした。<br />
<br />
「・・・なんだ」<br />
<br />
　ぞくりとして振り返る。<br />
<br />
「悪いが、それはもらうぞ」<br />
<br />
　まるで太陽から直接語りかけられたかのような気がして、レオンは思わず頭を抱えて叫んだ。<br />
<br />
<br />
]]>
    </description>
    <category>レジェンド・オブ・フロンティア</category>
    <link>http://mfxxxx.blog.shinobi.jp/%E3%83%AC%E3%82%B8%E3%82%A7%E3%83%B3%E3%83%89%E3%83%BB%E3%82%AA%E3%83%96%E3%83%BB%E3%83%95%E3%83%AD%E3%83%B3%E3%83%86%E3%82%A3%E3%82%A2/%E3%83%AC%E3%82%B8%E3%82%A7%E3%83%B3%E3%83%89%E3%83%BB%E3%82%AA%E3%83%96%E3%83%BB%E3%83%95%E3%83%AD%E3%83%B3%E3%83%86%E3%82%A3%E3%82%A2%E3%80%80%E7%AC%AC%EF%BC%91%EF%BC%92%E7%AB%A0</link>
    <pubDate>Mon, 24 Oct 2011 12:39:28 GMT</pubDate>
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  </item>
    <item>
    <title>レジェンド・オブ・フロンティア　第１１章</title>
    <description>
    <![CDATA[「これは・・・」<br />
<br />
　唖然として、アルト姫はぼんやりと壁に映し出された映像を見つめ息をのんだ。<br />
　薄汚れた単なる壁だったはずのそれに、大きな丸い光が浮かんだか思うとそこに見えるはずのない光景が広がっている。<br />
<br />
「あれは、シェリル王子！」<br />
<br />
　いったいどういうことなのかと頬を紅潮させるアルトに、ミシェルは悠然と微笑みを返した。<br />
<br />
「この魔法の石ですよ。これは離れた場所でも通信が可能な水晶石です。ただしお互いに持っていないと、一方通行では反映されません」<br />
「つまり、あちらにいる誰かがこの石を持っているから、こうして映像が送られてこれるということですか」<br />
「そのとおりです」<br />
<br />
　では、すでにシェリルの元にはミシェルの息のかかった者ががいるということ。それが今剣を振り上げて王子に挑んでいるのか、それとも間諜がはじめから軍に存在していたということだろうか。<br />
　アルト姫はぎゅっと胸元で拳を握った。<br />
　白い肌に細く青白い血管が浮き出る。<br />
<br />
「すでに、戦いが始まっているのでしょうか」<br />
「いいえ、よく見て下さい」<br />
<br />
　促されるままに目を向けると、確かに緊迫した空気は伝わってくるがそこに争いの気配はない。シェリルは従者の少年としきりに何かを探るようにあたりを警戒している。<br />
<br />
「我々の出番はまだ後です。しばらく高みの見物と行きましょう。お腹はすきませんか？とっておきのワインがあります。お召し上がりになりますか、姫？」<br />
「ふざけないでください」<br />
「ふざけてなどいませんよ。ただぼんやり見ていてもつまらないでしょう？どちらにせよ、我々は・・・いえ、あなたは映像を見守ることしかできないのですから」<br />
「何が起こるのですか」<br />
「くだらない、喜劇が」<br />
<br />
　そう答えてミシェルは、眼鏡の奥で冷たい目を輝かせた。<br />
　アルト姫の背後では、やはり壁に小さな映像が浮かんでいたが、ミシェルはそれを姫に告げることなく興味なさげに目をそらして、すぐに消してしまった。<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
　同時刻。<br />
　こちらの映像は届いているはずなのに、何のアクションもない。<br />
　レオンは内心の苛立ちを抑えながら、白煙の上る、それでいてやけに静かなひらけた場所へと視線を巡らせた。<br />
<br />
「レオン様」<br />
<br />
　汗と煙で汚れた配下が、駆け寄ってくる。<br />
<br />
「シェリル王子らはこちらへ向かってはいないようです。そのまま塔を目指しております」<br />
「そうか。さすがに我々よりも姫の方が気になるか」<br />
<br />
　薄ら笑いを浮かべて、チリ、と紫の石を鳴らした。<br />
　ふわりとそれが輝き、大木の幹にうっすらと映像が映し出される。そこにはシェリル王子と彼が指揮する隊が、整然と、それでいて緊迫した面持ちで進んでいる様子が見て取れた。<br />
<br />
「このまま塔へ誘い込め。背後からやつら【ゼントラン】のごろつきどもが襲撃することになっている。ある程度勝負がついたら、出て行けば良い。我々は高みの見物と決め込もう」<br />
「では、予定通りに」<br />
<br />
　敬礼して去っていく兵を見送りながらレオンは苦々しく唾を吐き捨てる真似をした。<br />
　一体何をやっている。<br />
　合図と呼ぶには少々派手な煙を上げた。それをリアルタイムで知らせたにも関わらず、返事のひとつもよこさないとは。<br />
<br />
「だが、まあいい。シェリル王子も、【ゼントラン】の連中も、共倒れしてくれれば全ては楽に事が済む」<br />
<br />
　シェリル王子を塔へ向かうための最速路へ導き、彼を囲う形でレオンが指揮する軍隊を配置する。その完了の合図を上げて、シェリル王子を背後から【ゼントラン】が襲撃する。彼の指揮する精鋭部隊は国王直属であり、この計画には最も邪魔な隊である。シェリル王子もろとも全て葬れば、国王が自由に動かせる兵の数はさらに少なくなるだろう。弱体化したトクガワ王にいつまでも付き従っていては、いずれはギャラクシーに取り込まれるか、力をつけた【ゼントラン】にクーデターを起こされるのは目に見えていた。ならば、その両方を相打ちさせればいい。<br />
　生き延びた方を、無傷の自分の兵が叩けば楽に物事は運ぶだろう。<br />
　そしてトクガワ王に報告するのだ。<br />
<br />
「多大な犠牲を払いましたが、アルト姫は私が無事にお救いしました」と。<br />
<br />
「なんとも悲劇だ。だがそれは美談となる」<br />
　国民というものは、やたら戦物語を美化したがるものだと、レオンは嘲笑った。<br />
<br />
<br />
<br />
＋＋＋＋＋＋＋＋＋＋＋＋＋＋＋＋＋＋＋＋＋＋＋＋＋＋＋＋＋<br />
<br />
<br />
<br />
　いやだなあ、まるで僕が悪者みたいじゃないか。<br />
　仕事の報告を終えて、芝居の進行状況について話をしていたキャシーに向かって、モニタの向こう側でレオンが軽やかに笑った。<br />
<br />
「別に、ただのお芝居だからいいじゃない」<br />
『ま、いいけどね。嫌われるのは慣れてるんだ』<br />
<br />
　でしょうね、という言葉をぎりぎり飲み込んで、しきりに今夜のスケジュールを聞いてくる男に曖昧に返事をすると、キャシーは通信を切った。<br />
<br />
「・・・あいつまで参加させる必要はなかったんじゃないのか」<br />
<br />
　モニタに映らないように部屋の片隅で腕を組んでいたオズマが、眉間に深い皺を刻みながら言う。<br />
　キャシーはくるりと椅子を回転させて立ち上がると、肩をすくめた。<br />
<br />
「お父様のお声がけがあったのよ。政府が協力しているってことをアピールしたいのね」<br />
「たかが学生のお芝居、と思ったが結構大掛かりだな」<br />
<br />
　やれやれ、と首を振って、デスクの上に散らばる大量の紙を摘み上げる。<br />
<br />
「で、結局ラストはどうなったんだ。できたんだろう？」<br />
「今脚本家にチェックしてもらっている最中よ」<br />
<br />
　感動的なハッピーエンドなのは間違いないわ、と、キャシーは自信ありげに言った。<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
]]>
    </description>
    <category>レジェンド・オブ・フロンティア</category>
    <link>http://mfxxxx.blog.shinobi.jp/%E3%83%AC%E3%82%B8%E3%82%A7%E3%83%B3%E3%83%89%E3%83%BB%E3%82%AA%E3%83%96%E3%83%BB%E3%83%95%E3%83%AD%E3%83%B3%E3%83%86%E3%82%A3%E3%82%A2/%E3%83%AC%E3%82%B8%E3%82%A7%E3%83%B3%E3%83%89%E3%83%BB%E3%82%AA%E3%83%96%E3%83%BB%E3%83%95%E3%83%AD%E3%83%B3%E3%83%86%E3%82%A3%E3%82%A2%E3%80%80%E7%AC%AC%EF%BC%91%EF%BC%91%E7%AB%A0</link>
    <pubDate>Mon, 24 Oct 2011 12:38:59 GMT</pubDate>
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